東京生まれ・東京育ちの僕が、四国の海辺のまちで見つけた新しい“生き方”

「ここでの暮らしって、すごく豊かなんです。都会にはない“体験の濃さ”がある。だからこそ、この場所をもっと多くの人に知ってもらいたいし、感じてもらいたい。」

2025年6月、愛媛県宇和島市にある創業100年を超える老舗「木屋旅館」に、新たな風が吹き込みました。空庵のメンバーであり、木屋旅館を運営する空庵の子会社・株式会社きさいや宇和島の非常勤取締役に就任したのが、花田直也さんです。

東京生まれ・東京育ち。かつては都会で忙しく働いていた花田さんが、なぜこのまちに移住し、今では地域のキープレイヤーの一人として活躍しているのでしょうか。その背景には、「地方での暮らし×仕事」への新しい価値観との出会いがありました。


研修旅行で地域の魅力に触れ、心打たれた

最初のきっかけは、2023年。社内の研修旅行で愛媛県宇和島市を訪れた花田さんは、地元の人々との交流、自然と文化が調和する時間に心を打たれました。

「宇和島の自然や文化、人との関わりなど地方ならではの魅力が凝縮されたような時間でしたね。いま振り返っても、自分の原点になっていると思います」

東京に戻っても、その感覚は忘れられず、約半年後には会社の遠隔勤務制度を活用して移住を決意。

現在は、古民家をリノベーションした民泊運営や、廃校利活用施設「ビーチビレッジ石応」のプロジェクト、さらには真珠文化を発信する“パール王子”としてのPR活動など、複数の地域プロジェクトに携わりながら、暮らしと仕事を両立しています。


花田さんが目指す場所

木屋旅館の非常勤取締役としても活動中の花田さん。目指しているのは、「ただ泊まるだけではない体験」を届ける宿づくりです。

「泊まるって、単なる宿泊行為じゃなくて、文化との接点になり得るんですよね。国内外問わず来られる方が宇和島や日本の文化に興味津々で。観光だけでなく、地元の一次産業に従事する方や、移住して新しいチャレンジをしている方とも話したり、そんな体験を通して、旅人が宇和島に愛着を持ってくれるようなきっかけを増やしていきたいんです」

また今後は、海外からの旅行客にも宇和島の魅力を伝えられるような取り組みを進めていきたいと花田さんは話します。

インバウンド対応の強化や、地域の人との交流を軸にした体験プラン、SNSを通じた旅館のブランディング──そうした小さな挑戦の積み重ねが、「また帰ってきたくなる宿」をつくっていくでしょう。


暮らしと仕事の境目がなくなる、豊かな生き方

花田さんの暮らしは、まさに“地域に入り込んだ生き方”。

古民家を改装したシェアハウスに住み、廃校をリノベーションしたシェアオフィスで海を眺めながら働く。休日には段々畑で野菜を育てたり、ピザを焼いて友人たちと語り合ったり。そんな日常のひとつひとつが、次の活動や企画のヒントになっています。

「ここでの暮らしって、すごく豊かなんです。都会にはない“体験の濃さ”がある。だからこそ、この場所をもっと多くの人に知ってもらいたいし、感じてもらいたい。」


宇和島で生きる。それは、自分らしい未来を描く選択肢

都会での人生に違和感を覚えているあなたへ。もし、“違う環境で、自分を試してみたい”と思うことがあるなら、一度地方へ出てみるのはいかがでしょうか?

花田さんのように、地域と関わる中でしか得られない成長や豊かさが、ここにはあります。

「地方って、“ない”ところじゃなくて、“あるのにまだ活かされてない”ものが多いんです。そこに関われるのは、すごく面白いですよ」

新しい生き方のヒントは、都会の外にあるのかもしれません。

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